卒業生紹介

 石田 真央(いしだ まお)

茨城県立日立第一高等学校教諭
2014年度数学類卒業

私は,高校生のころから数学の教師になることが夢でした。筑波大学に進学したいと思った一番のきっかけは,数学と数学教育について深く学べるからでした。さらに総合大学という特色から,他の学類の授業を受けることができ,様々な専門の人たちと交流ができることもとても魅力的でした。

大学で学ぶ数学は高校生までの数学とは大きく異なり,戸惑ったのをよく覚えています。それでも,今まで曖昧に理解していたことが厳密に定義され,そこから新しい定理を積み重ねていく過程にはワクワクしました。卒業研究では照井先生のセミナーで,計算機数学について研究しました。学んだことについて人前で発表し,議論し合い,それらをまとめあげた経験は教師になった今,とても強みになっています。また,セミナーでは,ICT関係のことも学ぶことができました。教育現場ではICTを活用した授業や校務が求められているため,そのような場面ではセミナーでの経験が活かされていると強く感じます。

大学4年間は,出身地も価値観も専門分野も異なる様々な人たちと交流することができ,自分自身大きく成長できました。この経験が,仕事だけではなく,日常生活でも様々な場面で役に立っていると思っています。



 大音 智弘(おおおと ともひろ)

テクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社
2012年3月 数学類卒業
2017年3月 数理物質科学研究科数学専攻修了 博士(理学)

私は、学類、博士前期課程、後期課程の9年間を筑波大学で過ごしてきました。博士の学位取得後は、1年間ポスドクをした後に現在の会社でデータサイエンティストとして働いています。データサイエンティストは、統計や機械学習とデータを用いてビジネス上の課題を解いていく職業で、私は顧客の所に常駐しながら日々顧客の課題をどうにか解決しようとしている毎日です。データというカッチリしたものから、ビジネスという少しふわふわした課題を解くためのギャップは、想像以上にありひたすらに考えることが求められます。

数学類では、(私の時は)3年の後半から先生とのゼミが本格的に始まります。ゼミでは、数学書や論文の輪講がありますが、数学書を自分が理解・納得できるまでギャップを埋めるというのは大変で、そこでもひたすらに考えることが必要になってきます。筑波大学は周りに何もないと言われますが、その環境であったからこそ一つのことを考えぬけて、とてもいい環境だと思っています。

友人や時には先生と議論し、数学について考えられた9年間は、私にとって何よりの財産です。



 柴田 大樹(しばた たいき)

岡山理科大学 理学部 応用数学科,助教
2011年3月 数学類卒業
2016年3月 数理物質科学研究科数学専攻修了 博士(理学)

私は高校生の時から数学という学問に漠然とした憧れがありました.大学では「数学をより深く勉強」できる環境に身を置きたいと考え,筑波大学の理工学群数学類に入学しました.

数学類では多くの専門授業(代数学・解析学・幾何学・統計学・確率論・計算機数学・数理論理学など)が開設されており,自らの知的欲求を満たしながらこれらの科目を無理なく履修することができました.教員の方々との距離も近く,授業で分からないことがあったときは遠慮なく研究室に聞きに伺うことができました.授業の質問が終わった後には,お時間のある限り先生から研究のことを教えていただき,それは私にとって何にも代えがたい刺激的で楽しいひと時でした.また同級生の多くが大学の周辺でアパートを借り生活していたので,時間を気にすることなく仲間と数学に没頭できたという学習環境も私にとって非常に良かったと思います.

卒業後はそのまま筑波大学の大学院へと進学しました.大学からの手厚いサポートのお陰で自らの研究に専念することができ,国内のみならず海外の研究集会に参加することができました.その中で様々な国の研究者と交流を行った経験も研究者におけるキャリア形成に結実していたと思います.筑波大学で博士号を取得した後,海外博士研究員を経て,現在は大学教員として大好きな数学の研究に没頭する日々を過ごしています.

数学は自分の頭の中にある雑然とした考えを,紙とペンおよび論理という信頼のおける武器(実験装置)だけを用いて,万人が納得できるカタチとして表現することができる素敵な学問だと思います.皆さんも筑波大学のこの恵まれた環境の中で自分の数学を見つけてみませんか!



 大田 祐治(おおた ゆうじ)

沖縄県立高等学校 教諭(2023年4月時点)
2023年3月 大学院数学学位プログラム博士前期課程 修了

管理者注:これは2022年度の数学類のパンフレットに掲載されていた数学類卒業生から高校生へのメッセージの文章となっております。

タイトル:「将来の筑波大生、数学類生へ」

数学は、多くの学問の基礎となり得る学問です。それを数学類では講義を中心に、しっかりと数学への理解を深めることができます。講義でわからなかった所は、40人という少ない学類の同期と教えあいながら考えることができます。それでも分からなかった時には、演習の時間や数学手習い塾と呼ばれる場で先生方や大学院生の先輩方に質問をすることができます。このように、相互の教え合いや質問ができる環境が整っているので、私は一つずつ自分の中で消化しながら学ぶことができました。

筑波大学には、先にあげた数学だけでなく、多種多様な分野の講義を同じキャンパス内で受講することができるという特徴があります。数学類では卒業するための講義はほとんど決まっていましたが、それに加えて様々な分野の講義を私は受講しました。それにより数学類で勉強した内容を他分野で具体的に、どのように活用しているのかということに学びを得ました。

学業以外では学園祭や年に2回のスポーツ・デーなどの行事があります。そこでは学生団体や学類の同期、研究室など様々な繋がりで行事を楽しむことができます。一つのキャンパスに多くの学生がいるので、新たな交流や大規模な運営にも携わることができ、実際に私は県人会という100人を超える団体の会長を務める機会がありました。そこでは、高校と異なり先生や学校のようなさらに上の立場の方々がいません。そのため、自分達でやるべきことを考えて実行しなければならないという経験をしました。

筑波大学では自分がやりたいことは自分から行動に移せば、ほとんど実現可能だと思います。そのような筑波大学で、皆さんがよりよい数学ライフを送れることを願っています。

(2022年4月 寄稿)



 小林 萌愛(こばやし もえ)

茨城県立高等学校 教諭(2023年4月時点)
2023年3月 数学類 卒業

管理者注:これは2021年度及び2022年度の数学類のパンフレットに掲載されていた数学類生から高校生へのメッセージの文章となっております。

タイトル:「高校数学のその先へ」

私は高校の数学の教員を目指しています。自身が数学がとても苦手だったので、数学が苦手な生徒にも分かりやすい授業ができる先生になりたいと思い、筑波大学の数学類で数学についての知識を深めようと受験を決めました。筑波大学は教員になるためのサポートが手厚く、実際に数学類の多くの学生が教員免許を取得するために教職の授業を履修しています。

とはいえ苦手な数学の世界に飛び込んで、ちゃんとついていくことができるのかとても不安でした。しかし、授業は講義と演習に分かれているので演習問題を解きながら講義内容の理解を深めることができ、先生方の丁寧なご指導のおかげで充実した環境で学ぶことができています。また、「数学手習い塾」という場が週に二回ほど設けられ、先生方や大学院生の先輩方に講義や課題の質問をすることができます。コロナ禍ではありますが、友人たちとともに手習い塾に通ったり休日に集まって勉強会を開いたりと、楽しい大学生活を送っています。

大学数学と高校数学の大きな違いは、定義や定理などの事実や証明を一つずつ着実に積み重ねて思考のステップを進めていくことに重きを置いている点だと感じています。論理に飛躍がないよう厳密に議論を進めていくためとても頭を使いますが、最後まで理解できた時や証明を完成させられた時の達成感はひとしおです。様々な分野の話題が繋がって体系的に見えるようになったり、高校までで学んでいた内容でも新たな気づきがあったりもします。私もまだまだ道半ばではありますが、これからさらに数学の知識を身に着けていった先で、一体どんな景色が見えるのかとてもワクワクしています。 大学で学ぶ数学はロマンに溢れています。筑波大学数学類には数学を存分に楽しめる環境も仲間もいます。皆さんと一緒に学べる日を楽しみにしています。

(2021年4月 寄稿)