数理の交差点

第2回 数理の交差点

 
下記の要領でシステム情報系4域と数学域の交流を目的としたセミナー形式の集会を開催いたしますのでご案内いたします。

日時:       2023年3月23日(木) 14:00 – 16:30
開催形式:  対面・Zoom ハイブリッド(状況次第でオンラインのみ)
対面開催地: 筑波大学 筑波キャンパス 自然系学系 D 棟 5 階 D509 室
       〒 305-8571 つくば市天王台1-1-1

※ Zoomでの参加をご希望の方は下記URLからミーティング登録をお願いいたします。

登録には名前・メールアドレス・会社名/学校名・役職 (学年) が必要です。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUkde2vqj8oHtXYotMMX-DRZ09M35zICCIQ

 

3月23日(木)

14:00 -- 14:10  開会

14:10 -- 14:40  金川哲也 (構造エネルギー工学)

       「混相流体力学と超音波医療に関連する非線形波動方程式の数理物理」

多数の気泡を含む液体中を伝播する超音波の弱非線形発展過程を記述する非線形波動方程式(KdV 方程式や非線形Schroedinger 方程式) ,およびその解としての衝撃波や(音響的な) ソリトンの数理物理を述べる.また, 最近盛んに研究がなされている, 超音波医療応用(強力集束超音波による低侵襲的な腫瘍焼灼や超音波造影診断用の脂質膜で覆われた気泡のモデリング) に対する数理物理的側面からのアプローチにも触れる.

15:00 -- 15:30  竹内有哉 (数学)

       「双正則同値と境界の幾何学」

図形の合同や相似に代表されるように, 「2 つの対象がいつ『同じ』であるか?」という問題は数学における基本的な問いの一つである.ここでは正則関数によってうつりあうものを「同じ」と見なすことを考える.これを双正則同値という.二つの領域が双正則同値であるかという問題は一変数と多変数で振るまいが大きく異なることが知られている.一変数の場合には「穴のない」有界領域は必ず円板と双正則同値である.一方で多変数の場合には球を少し変形しただけでも元の球とは双正則同値にならないものがある.これに対しFefferman は領域の境界のもつCR 多様体の構造が双正則同値の判定に利用できることを明らかにした.この領域と境界を結びつける発想は素粒子物理のAdS/CFT 対応に類似しており, このことから示唆を受けた研究が近年進められている.今回の講演ではここまで述べた内容についてもう少し詳しく説明したい.

15:50 -- 16:20  國廣昇 (情報工学)

       「暗号と量子計算」

暗号技術を安全に利用するためには, その安全性評価が重要です.現在広く利用されているRSA 暗号, 署名方式ECDSA はそれぞれ, 素因数分解, 楕円離散対数問題の困難性に安全性の根拠をおり, これらの問題の困難性を理解することが重要です.古典計算機のもとでは十分に困難であると考えられていますが, 量子Turing 機械のもとで, 多項式時間で解かれることが知られています.このような状況下で, 量子計算機に対しても安全な耐量子計算機暗号の研究が活発に研究されています.本講演では, 素因数分解, 離散対数問題を含む隠れ部分群問題を紹介するとともに, その問題を解く量子アルゴリズムを紹介します.

16:20 -- 16:30  閉会

委員:

八森正泰(社会工学)
佐野良夫 (情報工学)
高安亮紀 (知能機能システム)
羽田野祐子 (構造エネルギー工学)
秋山茂樹 (数学)
坂本龍太郎 (数学)
三原朋樹 (数学)

プログラム作成責任者:坂本龍太郎 (数学)

 

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