数学について・研究について
数学について・研究について
数学は、どのようなところで役に立ちますか?
数学は、科学の多くの分野で、理論を記述し展開するための基礎学問になっています。数学は、その厳密性や普遍性により、多くの科学研究の土台として、科学の発展に多大に貢献しています。数学は、物理学、工学、経済学、生物学などに広く応用され、また、統計学を通じて医学や心理学、社会調査、保険業などにも使われています。数学は、現代社会において多様な役割を担っているといえるでしょう。
数学の研究とはどういうものですか?
数学の研究はとても自由です。
研究をする際は、自分が最も興味を感じた問題のなかから自分の研究テーマを自由に選びます。
自分自身で、新たに問題を設定することも研究ではたいへん大切なことです。
研究の手法ややり方も、(指導教官や共同研究者からのアドバイスを受ける場合も
勿論ありますが)自分で決めていきます。
未解決問題を解くことを目指す研究や現象の本質を理解することを目的とする研究、
人を魅了し感動させる真実を発見する研究もありますし、あらたな理論体系を構築する
研究もあります。
数理科学や生命科学、工学や経済学への応用を目的とする数学の研究もあります。
数学には、たくさんの分野がありますが、幾つかの分野に関連するような研究、
数学の枠を超えた学際的な研究テーマもあります。
何人かが共同して研究をすすめる場合もありますし、一人で問題に取り組むこともあります。
数学の研究は、とても楽しく、やりがいのあることです。
美しい真理を発見した時の感動、やりがいのある研究テーマで研究成果を得た時の充実感や
達成感を味わったら、数学の研究をもっともっとしたいと望むようになります。
コンピュータと数学とはどんな関係にありますか?
現在のコンピュータの動作原理は数学(基礎論)によって
基礎づけられています。ですが、これから数学を学ぶ者にとっては
このことはそれほど重要ではないでしょう。むしろ,コンピュータは,
数学を学んだり研究する上で(紙と鉛筆以上に)重要で不可欠な道具で
あると考えてください。
複素数の虚数単位 i は日常生活において表現できないものだと思うのですが、 何か役に立っているのですか?
数学は複雑なものを簡単に表示したり、理解したりするときに大いに役に立ちます。
実直線1本だけを考えている時には余り複素数は役に立ちませんが、
平面で物事を考える時や我々が住んでいる3次元空間、時間まで1次元だと考えた
4次元空間を考える時には、複素数は信じられないほど役に立ちます。
物理では、我々が住んでいる空間の直線は 実直線だけではなく、
虚数軸も考えた方が分かり易いと言われています。
電気を扱うための理論にも複素数が用いられています。
発電所から家庭用に供給されている電気は交流ですが、
その交流の計算に複素数を用いることが驚くほど有効であるため、
この分野の技術者にとっては複素数は必須の知識となっています。
高校の段階でも、sin や cos の加法定理を覚えるのは記憶力ですが、複素数で表記すると、
オイラーの定理 e(i a)=cos(a)+ i sin(a) から加法定理は簡単に出てきます。
ベクトルの代わりもしてくれます。
日常生活で使われないのは、ほとんどの人が理解できないからであって
役に立たないこととは違います。ですから使える人は実社会の様々な場面で重宝がられます。