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カテゴリ:微分幾何セミナー

微分幾何学火曜セミナー(10月30日)

 下記の日程で微分幾何学火曜セミナーを開催いたしますので、興味がございます方は是非ご参加下さい。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)

日時: 10月 30日(火) 15:15 〜 16:45
場所 : 筑波大学 自然系学系 D棟 D509教室
講演者: 楯 辰哉  氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目:周期的ユニタリ推移作用素の局在化
アブストラクト:
近年コンピュータサイエンスや量子シミュレーションなどの分野において,量子ウォークという,ランダムウォークの量子論的類似と思われる概念が話題になり利用されている.量子ウォークとはユニタリ作用素によって定義される確率分布をさすが,その時間無限大での挙動は通常のランダムウォークと大きく異なる.その違いの一つとして簡単に局在化が起こることが挙げられる.本セミナーでは,量子ウォークやその一般化である周期的ユニタリ推移作用素とその局在化について説明した後,小松尭氏(横浜国大)との共同研究で得られた,高次元におけるグローバー型と言われる量子ウォークの局在化について解説する.

筑波大学微分幾何学火曜セミナー

筑波大学微分幾何学火曜セミナー
日時:4月17日 (火) 15:15 ~ 16:45
場所:D509
講演者:Francisco Martin(University of Granada)
題目:Translating graphs for the MCF in Euclidean space
Abstract: A translator is a surface in $\mathbb{R}^3$ that (up to a tangential diffeomorphism) moves  with velocity $v=(0,0,-1)$ by Mean Curvature Flow. Equivalently, the mean curvature at each  point is $H= (0,0,-1)^{\perp}.$ Besides vertical planes, one of the simplest examples of complete translators is the grim reaper cylinder. In this talk we will describe several existence and uniqueness results for complete translators which are graphs over planar domains. This is a joint work with D. Hoffman, T. Ilmanen and B. White.

微分幾何学火曜セミナー(7月25日)

日時:7月25日(火)15時15分から(16時45分頃まで)

場所:筑波大学自然系学系棟D棟 5階 D509

講演者:櫻井陽平氏(筑波大学)

講演題目:1-重み付きRicci曲率の下からの有界性とエントロピーの凸性について

講演要旨:
 重み付きRicci曲率はRicci曲率のある種の一般化であり,重み付きRiemann多様体の振る舞いを制御する.重み付きRicci曲率はあるパラメーターを備えているが,従来はそのパラメーターが多様体の次元以上の場合が主な研究対象であった.しかし最近では,多様体の次元未満の場合に関する研究も徐々に行われつつある.
 本講演では重み付きRicci曲率のパラメーターが多様体の次元未満の場合,特に1の場合を取り扱う.このとき,重み付きRicci曲率がある関数で下から押さえられることと,Wasserstein空間上のエントロピーがLott-Villani,Sturm型の凸性を満たすことが同値であることを説明する.さらにその同値性から導かれるBrunn-Minkowski型不等式や関数不等式を紹介する.

微分幾何学火曜セミナー(6月17日)

日時: 2014年6月17日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 田崎博之(筑波大)
タイトル: 複素旗多様体内の四元数旗多様体の交叉の構造

概要: 今回の発表内容は入江博さん、酒井高司さんとの共同研究の結果に基いています。2012年5月に火曜セミナーで「複素旗多様体内の実旗多様体の交叉の構造」という題名で講演をしました。今回の話はその続きです。前回の講演で定義した複素旗多様体内の対蹠集合の概念に基いて、複素ベクトル空間の複素部分空間の列からなる複素旗多様体内の四元数旗多様体同士の交叉が対蹠集合になることを証明します。前回同様これもコンパクト型Hermite対称空間内の実形同士の交叉が対蹠集合になるという田中真紀子さんとの共同研究の結果の一部の拡張になっています。

微分幾何学火曜セミナー (5月13日)

日時: 2014年5月13日 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 田崎 博之 (筑波大学)
タイトル: 複素Grassmann多様体の正則等長変換の不動点集合と二つの実形の交叉

概要: 今回の発表内容は田中真紀子さん井川治さんとの共同研究の結果にもとづいています。
複素Grassmann多様体の正則等長変換全体の単位連結成分に含まれる変換の不動点集合を記述し、二つの実形の交叉と正則等長変換の不動点集合の関係を明らかにします。これにより、交叉が離散的のときに対蹠集合になるという田中真紀子さんとの共同研究の結果の別証明が得られます。

微分幾何学火曜セミナー (4月15日)

日時: 2014年4月15日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 田崎博之 (筑波大学)
タイトル: 有向実Grassmann多様体の対蹠集合の系列と評価

概要: 有向実Grassmann多様体の極大対蹠集合は、有限集合内のある性質を持つ部分集合の族と一対一に対応すること、および階数 4 以下の場合の極大対蹠集合の分類を2013年1月の火曜セミナーで示しました。今回の講演では階数 4 以下の場合の極大対蹠集合の分類に現れた対蹠集合の系列を一般化し、これらがいつ極大になるか明らかにします。さらにこの系列を利用して、階数 5 の場合の対蹠集合の大きさの評価を与えます。

微分幾何学火曜セミナー(2月4日)

日時:2月4日(火)、16:00~16:45
場所:B627

講演者:松島弘直(筑波大)
タイトル:調和写像の存在定理とその応用

説明:リーマン多様体間の滑らかな写像に対してそのエネルギーが定義され、これにより滑らかな写像全体からなる空間上の汎関数が得られる。調和写像はエネルギー汎関数の臨界点として定義され、測地線、調和関数、極小部分多様体などを例に持つ重要な研究対象であり、与えられた写像を調和写像へ自由ホモトープに変形できるかどうかは、幾何学的変分問題の基本的な問題といえる。
 本講演では、この問題に対する答えのひとつであるEells-Sampsonの定理の証明の概要と、定理の応用としてリーマン多様体の構造に関して知られている結果について述べる。

微分幾何学火曜セミナー(2月4日)

日時:2月4日(火)、15:15~16:00
場所:B627

講演者:櫻井陽平(筑波大)
タイトル:リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体の距離構造に関する剛性

説明:境界付きリーマン多様体に対し、リッチ曲率、ならびに境界の平均曲率のある有界性を仮定したとき、境界からの距離関数の上限や体積に関する比較定理が得られる。本講演では、それらの比較定理において、等号が成立する場合の、境界付きリーマン多様体の距離構造に関する剛性について述べる。特に、最近の新たな成果について、詳しく解説する予定である。

微分幾何学火曜セミナー(1月28日)

日時:1月28日(火)、15:15~16:45
場所:自然系学系棟B棟6階B627

講演者:守屋克洋(筑波大)
タイトル:Wintgen ideal surfaceの複素解析的性質

説明:Wintgen ideal surfaceに極の概念を導入し有理関数との類似の性質が成り立つことを説明する。この結果はIsrael J.Math.に掲載予定である。

微分幾何学火曜セミナー(1月14日)

日時:2014年1月14日(火),15:15~16:45
場所:B627

講演者:川上裕 氏 (山口大)
タイトル:曲面のガウス写像の函数論的性質について

説明:
3次元ユークリッド空間内の極小曲面のガウス写像には幾つかの函数論的性質が存在する。例えば、完備かつ非平坦な極小曲面のガウス写像の除外値数は高々4になるという「ピカールの小定理」に対応した結果が成り立つ。また、ガウス写像の7つの値の逆像が一致した場合、その写像が完全に1つに決まるという「ネバンリンナの一意化定理」に対応した結果も成り立つ。さらに、このような性質は、3次元双曲型空間内の平均曲率が1の双曲的ガウス写像や3次元アファイン空間内の非固有アファイン波面のラグランジアンガウス写像についても成り立つ。
そこで、本講演では、これらガウス写像の函数論的性質の意義およびその幾何学的背景について解説する。

微分幾何学火曜セミナー(11月19日)

日時:2013年11月19日(火)16:40~18:10
場所:自然系学系棟 B627

講演者:井関裕靖 氏 (慶応大)
タイトル:ランダム群のL^p空間に対する固定点性質

説明:
群が Hilbert 空間に対する固定点性質をもつことと、​Kazhdan の性質 (T) と呼ばれる性質をもつことは同値であり、この性質が群の種々の剛性と関わりをもつことはよく知られている。さらに、強い剛性をもつ群が、しばしばHilbert 空間のみならず L^p 空間に対する固定点性質をもつことも指摘されている。この講演では、ある意味で一般的な有限表示群が L^p 空間に対する固定点性質をもつことを、ランダム群の言葉を用いて述べた固定点定理を紹介する。この結果は、実は、非常に多くの群が、ある種の剛性をもっている可能性があることを示唆している。

微分幾何学火曜セミナー(11月19日)

日時: 2013年11月19日(火)15:00~16:30
場所: 自然系学系棟 B627

講演者:徐泳鎮 氏 (韓国慶北大学校)
タイトル:Isometric Reeb flow and Contact hypersurfaces in Hermitian symmetric space

説明: 
In this talk, first we introduce the classification of homogeneous hypersurfaces in some Hermitian symmetric spaces of rank 1 or rank 2. In particular, we give a full expression of the geometric structures for hypersurfaces in complex two-plane Grassmannians $G_2({\Bbb C}^{m+2})$ or in complex hyperbolic two-plane Grassmannians $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$. Next by using the isometric Reeb flow we give a complete classificationfor hypersurfaces $M$ in complex two-plane Grassmannians $G_2({\Bbb C}^{m+2})$, complex hyperbolic two-plane Grassmannians $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$ and a complex quadric ${\Bbb Q}^m$. Moreover, we introduce the notion of contact in Hermitian symmetric space and give a classification of contact hypersurfaces in Hermitian symmetric space like $G_2({\Bbb C}^{m+2})$, $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$ and ${\Bbb Q}^m$.

微分幾何学火曜セミナー (11月12日)

日時: 2013年11月12日 (火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 長谷川和志 氏 (金沢大)
タイトル: 球面内のツイスター正則な曲面に対する共形面積と法束の第一チャーン類について

概要:
本講演では,偶数次元の単位球面内のツイスター正則な曲面に対して,P. Liと S. T. Yau によって導入された共形不変量である共形面積(共形体積)と曲面の法束の第一チャーン類を含む不等式を紹介する.ツイスター正則な曲面は外空間の共形変換で不変なので,その共形面積という共形不変量やチャーン類などとの関係を調べることは重要である.例えば,この不等式を用いて,E. Calabiによる超極小曲面の面積に関する結果や,T. Friedrichによる4次元定曲率空間内のツイスター正則な曲面の法束の第一チャーン類に関する不等式を改良したものもが系として得られる.

微分幾何学火曜セミナー (7月30日)

日時: 7月 30日 (火), 15:15 ~ 16:15
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 守屋克洋 (筑波大学)
タイトル: Wintgen理想的曲面の高次元化とシュワルツの補題

概要:
Wintgenは四次元ユークリッド空間内の曲面のガウス曲率、法曲率、平均曲率の間に成り立つ不等式を提示した。その高次元版として、空間形内の部分多様体についても同様な不等式が成り立つことが知られている。この不等式の等号が成り立つ場合をWintgen理想的部分多様体といい、部分多様体の研究課題となっている。本講演ではWintgen理想的部分多様体と別な方法で高次元化を行い、正則写像のシュワルツの補題の類似を提示する。

微分幾何学火曜セミナー (7月9日)

日時: 7月9日 15:15~16:45
場所: B627

講演者 : 櫻井陽平(筑波大)
タイトル: リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体の剛性

概要:
リッチ曲率が下に有界な完備リーマン多様体に対して、いくつかの比較定理ならびに剛性定理が知られている。本講演では、リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して、境界の平均曲率の仮定のもと得られた比較定理と剛性定理について述べる。主な結果として、境界からの距離の上限に関する比較定理と、それに関する剛性定理について報告する。

微分幾何学火曜セミナー (5月28日)

日時: 5月28日 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 三石 史人 氏 (東北大学 理学研究科)
タイトル: 距離空間の局所リプシッツ可縮性と整数係数カレントのホモロジー

概要:
距離空間の局所リプシッツ可縮性はとても基本的な性質で、例えば、ノルム空間、CAT空間、グラフ、アレクサンドロフ空間、(さらにこれらに局所的に双リプシッツ同相な空間)など、距離空間の幾何学の多くの対象がこの性質を満たしている事が分かります。Ambrosio と Kirchheim は2000年に距離空間の中のカレントを定義し、その基本的な性質を調べました。特に、距離空間 X の中の整数係数カレントでコンパクト台を持つもの全体は鎖複体をなします。私はもし X が局所リプシッツ可縮ならば、いま述べたカレントの鎖複体のホモロジーと 特異ホモロジーと特異リプシッツホモロジーが自然に同型である事を示しました。証明には cosheaf という sheaf の双対概念を使います。講演ではこれらについて報告致します。

微分幾何火曜セミナー (2月12日)

日時: 2013年2月12日(火)  15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 田中真紀子 氏 (東京理科大)
タイトル: Isometries of Hermitian symmetric spaces
概要:
この講演の内容はAugsburg大学のJost-Hinrich EschenburgさんとPeter Quastさんとの共同研究によるものです。コンパクト型または非コンパクト型Hermite対称空間Mは、半単純Lie群Gの随伴表現の軌道として、GのLie環gの部分多様体として実現できますが、このとき、Mの任意の等長変換がgの線形等長変換に拡張できることを証明しました。講演では、この研究の背景を含めてお話ししたいと思います。

微分幾何火曜セミナー (1月29日)

日時: 2013年1月29日(火)  15:15~16:45
場所: 自然系学系棟  B627

講演者: 田崎 博之 (筑波大学)
タイトル: 有向実Grassmann多様体の対蹠集合

概要:
コンパクト型Hermite対称空間やそれを含むクラスである対称R空間の対蹠集合については、2011年2月の火曜セミナーで田中真紀子さんとの共同研究の結果について講演しました。今回の講演ではそれを利用して、有向実Grassmann多様体 G_k(R^n) の極大対蹠集合が {1, 2, ..., n} のある性質を持つ部分集合の族と一対一に対応することを示し、このある性質を持つ部分集合の族を決定するための方法を解説します。さらに k が 4 以下のときにこの方法を実行して得られた極大対蹠集合の分類結果を示します。この分類結果と関連する有限幾何学や不変交代形式についても触れたいと思います。

微分幾何火曜セミナー (1月22日)

日時: 1月 22日 (火)  15:15 ~ 16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 川上裕 氏 (山口大学)
タイトル: ガウス写像の除外値数の上限の幾何学的意味について

概要:
複素平面から閉リーマン面への正則写像の除外値数の最良の上限はその閉リーマン面のオイラー数と一致することが知られている.本講演では,藤本坦孝氏により得られた,3次元ユークリッド空間内の完備極小曲面のガウス写像の除外値数の上限である“4”や講演者と中條大介氏との共同研究で得ることができた,3次元アファイン空間内の弱完備な非固有アファイン波面のラグランジアンガウス写像の除外値数の最良の上限である“3”の幾何学的意味について解説する.また時間が許せば,ガウス写像の理論と正則曲線の理論との関係についても述べる予定である.

参考文献
Yu Kawakami, On the maximal number of exceptional values of Gauss maps for various classes of surfaces, Mathematische Zeitschrift, December 2012

微分幾何火曜セミナー (1月15日)

日時: 2013年1月15日(火)  15:15~16:45
場所: 自然系学系棟B627

講演者: 伊藤光弘 (筑波大学)
タイトル: Complex Hyperbolic Space and Horospheres

概要:
Horospheres are level hypersurfaces of Busemann function. From a geometrical view point I talk about certain characterizations of complex hyperbolic space and quaternionic hyperbolic space.

微分幾何火曜セミナー (1月8日)

日時: 2013年1月8日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627

講演者: 田丸博士 氏 (広島大学)
タイトル: リー群上の左不変計量の幾何と部分多様体論

概要:
各リー群上の左不変計量の全体は非コンパクト対称空間となることから, 左不変計量の幾何の研究には非コンパクト対称空間への群作用が自然に登場する. 本講演では, 特に 3 次元可解リー群の場合に, 非コンパクト対称空間へのcohomogeneity one 作用と, 左不変な代数的 Ricci soliton の様相が, 極めて良く対応していることを述べる. また, その高次元リー群への一般化や擬リーマン版についても触れる予定である.

微分幾何火曜セミナー(11月13日)

日時: 11月13日(火)  15:15~16:45
場所: 自然系学系棟B627

講演者: 三石史人 氏 (東北大)
タイトル: アレクサンドロフ空間の局所リプシッツ可縮性とその応用

概要:
アレクサンドロフ空間とは断面曲率の下限を備えた距離空間です。多様体の収束・崩壊理論の観点から、アレクサンドロフ空間の研究は重要であり、その局所的・大域的な性質が色々と判明しています。例えば、ペレルマンによって、アレクサンドロフ空間は位相的に局所可縮である事が知られています。今回、その証明と異なる方法を取ることによって、主張「局所的な一点へのホモトピーがリプシッツ写像で取れる」事を証明しました。講演では、主張の証明のアイディアと応用を述べます。

微分幾何火曜セミナー(10月23日)

日時: 2012年10月23日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟B627

講演者: 守屋克洋 (筑波大学)
タイトル: 調和逆平均曲率曲面の変換

概要:
調和逆平均曲率曲面とは平均曲率の逆数が調和関数である3次元ユークリッド空間内の曲面である。Bobenkoによる、曲面の動標高を2×2行列を用いて書く定式を通じた曲面論とソリトン理論の関係の中で導入された概念で、変換が分類されている。本講演では、四元数的正則幾何の定式化を用い、調和逆平均曲率曲面を自然に含む曲面のクラスを導入し、特別なベックルント変換とダルブー変換の間に成り立つ関係を報告する。これらの議論はウィルモア曲面の場合と平行に行われる。

微分幾何火曜セミナー(10月2日)

日時: 2012年10月2日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟B627

講演者: 相山玲子(筑波大学)
タイトル: Curvature ellipses of surfaces in Euclidean 4-space

概要:
4次元Euclid空間内の曲面の曲率楕円とは,各接平面内の単位円周を第二基本形式によってうつした像である,各法空間内の楕円です.各法空間内で曲率楕円の位置を判別するための新しい方法を与え,曲率楕円が原点を通る直線内の線分に退化している場合の様子について報告します.

微分幾何セミナー: 田崎博之 氏 (6/19)

日時: 2012年6月19日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B627
講演者: 田崎博之(筑波大)
タイトル: コンパクト型Hermite対称空間の二つの実形の交叉II

概要:
今回の発表内容は田中真紀子さんとの共同研究の結果にもとづいています。​2010年1月の火曜セミナーでコンパクト型​Hermite対称空間の二つの実形の交叉に関する田中さんとの共同研究について講演しました。そこでは二つの実形の交叉が対蹠集合になることを示し、それを利用して交叉の性質を詳しく調べました。特に既約コンパクト型​Hermite対称空間の二つの実形の交点数を完全に決定しました。今回の講演ではこれまでの結果を利用してさらに既約ではない場合のコンパクト型​Hermite対称空間の二つの実形の交点数を完全に決定します。これには等長変換群や正則等長変換群の単位連結成分による剰余群の構造に関する村上信吾先生、竹内勝先生の結果が鍵になりました。

微分幾何セミナー: 長谷川敬三 氏 (6/12)

日時: 2012年6月12日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟 B814
講演者: 長谷川敬三 氏 (新潟大学)
タイトル: Non-Kaehler homgeneous geometry -- pseudo-Kaehler and locally conformally Kaehler structures

概要:
Kaehler構造の自然な一般化として擬​Kaehlerおよび局所共形K​aehler構造がある。この講演において,おもに等質および局所等質多様体上の局所共形​Kaehler構造について,基本事項を踏まえて出来る限り分かりやすく,最近の研究動向まで話をしたい。

微分幾何セミナー: 伊藤健一氏(6/5)


日時: 2012年6月5日(火) 15:15~16:45
講演者: 伊藤健一 (筑波大学)
タイトル: Absence of embedded eigenvalues for the Schrödinger operator on manifold with ends

概要:
増大するエンドを持つ多様体上のSchrödinger作用素に対し,ある臨界値より大きな$L^2$-固有値が存在しないことを示す.この臨界値はエンドとポテンシャルの遠方での振る舞いから計算され,典型的な例では連続スペクトルの下限に一致する.エンドの形状に関する仮定をある凸関数の存在で抽象的に定式化することで,漸近的にEuclid型なエンドと漸近的に双曲型なエンドの両者を同時に扱うことができる.証明は固有関数に対する先験的超指数減衰評価と超指数減衰する固有関数の非存在の二段階に分けて行われ,ともにMourre型交換子評価が鍵となる.
本講演はE. Skibsted氏(Aarhus大学)との共同研究に基づく.

筑波大学微分幾何学火曜セミナー

微分幾何セミナー: 北別府悠氏(5/29)


日時: 2012年5月29日(火) 15:15~16:45
場所: 自然系学系棟B627
講演者: 北別府悠氏(東北大・理)
タイトル: 測度距離空間上の coarse Ricci 曲率

概要:
距離空間とその上のランダムウォークに対して定義されるcoarse Ricci 曲率と測度距離空間上で定義される曲率次元条件の関係はよく分かっていませんでした。今回 Bishop-Gromov不等式を通してこの二つの概念の関係を調べることができたのでそれについてお話しします。また例を通してランダムウォークの取り方の重要性についても述べたいと思います。

筑波大学微分幾何学火曜セミナー

微分幾何セミナー: 田崎博之氏 (5/15)

日時: 2012年5月15日(火) 15:15~16:45
場所: B627
講演者: 田崎博之(筑波大)
タイトル: 複素旗多様体内の実旗多様体の交叉の構造

詳細:
今回の発表内容は入江博さん、酒井高司さんとの共同研究の結果にもとづいています。一般化された複素旗多様体には一般化された対称空間の構造が入り、その点対称に関する対蹠集合は点対称の次数に依存せずに定まることを示します。さらに複素ベクトル空間の複素部分空間の列からなる複素旗多様体内の実旗多様体同士の交叉が対蹠集合になることを証明します。これはコンパクト型Hermite対称空間内の実形同士の交叉が対蹠集合になるという田中真紀子さんとの共同研究の結果の一部の拡張になっています。

筑波大学微分幾何学火曜セミナー

微分幾何セミナー: 相山 玲子 氏 (4/24)

日時: 4月24日(火), 15:15 ~ 16:45
場所: D814

講演者: 相山 玲子 (筑波大学)
タイトル: Surfaces in Euclidean 4-space and inflection points

概要:
4次元Euclid空間内の曲面上で,inflection point とは,第2基本形式がある法方向に対しては退化してしまっている点を意味します.Inflection point では法曲率が0であり,特に極小曲面の場合はそれが必要十分条件となります.Garcia-Mochida-Fuster-Ruas(1998年)は,genericには極小曲面にはinflection poitnがないことを示しています.法曲率が恒等的に0でない極小曲面においては,Inflection point の集合が面積をもたないことが,別の方法で示せます.また,その議論の応用として,法曲率が恒等的に0である極小曲面は,3次元Euclid空間内に含まれていなければならないことがわかります.これは,4次元Euclid空間内の完備極小曲面に対する Smoczyk-Wang-XinによるBernstain 型の結果(2006年)で与えられている条件に対して,その意味づけを与える結果といえます.