金子元 (代数)

 

1. 研究分野の紹介

私の専門は解析数論です。解析数論では、不等式を使って数の性質を調べることが研究テーマです。例えば、実数の無理数性の証明が典型的な研究対象です。皆様も2の平方根が無理数であることの証明を、高校の数学で学んだかもしれません。その証明には、素因数分解の一意性が使われています。一方、自然対数の底eや円周率πの無理数性は、主に不等式を用いて証明されます。

2. 身近に興味深い未解決問題があることが研究の魅力

Web上で「数学 未解決問題」と検索すれば、数学の未解決問題が数多く見つかります。未解決問題の中には、一見すると素朴な問題もあります。例えば、eやπの無理数性は証明されていますが、和e+πの無理数性は未解決問題です。

その他に、実数の10進展開に関する未解決問題もあります。実数の10進展開では、0から9まで10通りの数字(ここではdigitと呼びます)が用いられます。2の平方根の10進展開を数値計算してみると、0から9までのdigitが一様に分布すると予想されます。ところがこの予想は未解決です。様々な魅力的な未解決問題を高校生のころ知り、挑戦したいと思ったことが数学を勉強する大きな原動となりました。今は未解決問題を検索できる時代なので、皆様もお気に入りの問題が見つかるかもしれません。

 3. 興味のある課題を持つことが自主的に勉強することにつながる

未解決問題はすぐに解けるものではありません。しかし、大学で学ぶことが将来問題を解くきっかけになるかもしれないという観点を持って、私は数学を学びました。結果として、授業内容の応用などを自主的に考えるくせがつきました。大学の学類で学ぶことは数学の基礎のため、様々な分野に応用があります。自分の中にテーマを持つことが、学習に良い効果を与えます。ただし、テーマは一つに固定する必要はありません。皆様が本やwebなどで気軽に問題を調べて、必要ならばテーマを変更しても良いと思います。

4. 楽しんで学ぶうちに基礎が身につく

最初は数学を楽しんでいるうちに、問題とその関連研究を追及する力が身につきました。現在、大学の教育では、基礎の習得に重点を置いています。もちろんこれも重要です。しかし、課題を見つけて楽しみながら自主的に学んでいるうちに、基礎はつくと個人的に考えています。私も実数の10進展開に関する未解決問題を視野に入れながら、解析数論を勉強しました。その結果、実数の10進展開に関して研究成果を出すことができました。皆様も大学4年間の中で、自分のお気に入りのテーマを見つけることを目標の一つにしてください。