過去の体験学習

過去の体験学習

年度 平成24年度
日付 平成24年8月2日
概要
『面積を数えよう』
竹山 美宏 先生

私たちは, 小学校の算数で長方形や三角形, 平行四辺形などの面積の公式を学びました. どの公式も, 辺の長さや高さを足したり掛けたり2で割ったりするものですから, 面積を計算するためには(長さを)『測る』という操作が必要なはずです. ところが, ある世界では面積を『数えて』計算することができます.

舞台となるのは下の図のように点が等間隔に並んだ世界です. この点を頂点とする多角形を考えます.
 

点の間隔を1としましょう. すると, 左の三角形の底辺の長さは3, 高さは2ですから, 面積は3 \times 2 \times \frac{1}{2} = 3です. 右の四角形は正方形で, 一辺の長さは$$\sqrt{5}$$ですから, 面積は $$\sqrt{5} \times \sqrt{5}=5$$です. では, 下の多角形の面積はいくつでしょうか?

このように複雑な場合は, 普通に面積を計算すると大変です. 実は, 上の多角形の面積は次の式で求められます. 

3+¥frac{1}{2}¥times 13-1=¥frac{17}{2} 

この計算では, あるものを『数えて』面積を求めているのですが・・・. 

今回の体験学習では, 上の問題を通じて, 参加者のみなさんと一緒に数学の研究を疑似体験してみようと思います.      


   

  

   

年度 平成27年度
日付 2015年8月7日
概要
「図形の合同についての再考」  相山玲子 先生


高校生の皆さんは,小学校・中学校の算数・数学において,合同な図形の定義や性質を学んできていることと思います。2つの「図形」が『合同』であるとは,一方の図形を「移動」させて他方に重ね合わせることができる場合でした。この「平面図形」の『合同』の定義において,「移動」とは「平行移動」「回転移動」「対称移動」およびその組み合わせで「平面図形」を動かすことでした。では,なぜこの3つの「移動」を考えればよいのでしょうか?

1つの答えとしては, ”「長さ」を変えない動かし方”はこの3種類で表せるという理由が挙げられます。皆さんがこれまでに勉強してきた「図形」の話は,ほぼ,”「長さ」を変えない動かし方で重ね合わせられる「図形」は同じもの(『合同』)であるとする「幾何学」”です。”いくつもの図形の中から『合同』なものを選びなさい” という問題は, ”『合同』な図形は同じ仲間として, 与えられた図形を分類しなさい”という「幾何学」の問題だということができます。

しかし,実は「幾何学」は対象とする「図形」や「移動」のルールを変えることによって色々な種類があるのです!例えば,「平面図形」の「移動」を,先の3つの操作に「縮小拡大」をつけ加えたものとすると,前述の『合同』の定義は『相似』の定義だと読みかえることができ,”『相似』な図形は同じ仲間とする「幾何学」”が考えられることになります。(ここまでは,ユークリッド幾何とよばれる最も古典的な幾何学です。)

今回の体験学習では,「図形」を「(平面内の)点の集合」として考え,「移動」のルールを拡張あるいは変更して得られる「幾何学」(非ユークリッド幾何,位相幾何・・・) も紹介して,その変更された「移動」の操作も体験してもらいながら,「幾何学」の雰囲気を感じてもらいたいと思います。

   

   



昼休みの座談会
「カレーを片手に集って”微積分学成立前夜の微積分学”について語る。」
座談会講師: 西村 泰一 講師

昨年度の体験学習で皆さんに講義をした西村が17,18 世紀の微積分学と19 世紀以降の微積分学(高校の教科書は19 世紀以降のやり方に依拠して書かれています)の違いについてお話しします。また、参加される皆様には ”微積分学序説 - 数学に悟りをもとめて- ”という冊子を無料で差し上げます。