過去の体験学習

過去の体験学習

年度 平成12年度
日付 平成13年3月19日(月)~20日(火)
概要

[代数] 『円周率を巡る御伽噺』
増田哲也

円周率とは何ですか。よく知られているようで、実は、円周率をきちんと理解している人は少ないようです。実際、新しい指導要領では円周率は3としてよいことになる そうですから。そうするといろいろ不都合が生じるはずですが、どんな不都合が生じるかわかりますか。一方で、円周率は3でなく、3.14 だと信じている人がいます。さらに、円周率は 22/7 だと信じている人も世の中にはいます。子供がそう思って いるならいいのですが、いい大人でも、そう信じている人が案外いるのです。そこで、円周率の本当の姿をお見せしようと思います。ついでに、円周率にまつわる 様々な御伽噺ができればと思います。




 

[幾何] 『曲線の幾何学』
長友康行

高速道路などを走っていて、「R=50m」などという標識をコーナーで見た経験はないでしょうか? あれは何を知らせているのでしょう? この講義ではこのコーナーの「曲がり具合」を物理的体験をもとに数値化してみます。さらに、この数値化された「曲がり具合」が道路の形自体を決定してしまうということを解説します。「F1」を観戦する楽しみを増やしましょう。


 

[解析] 『「つむじ」の数を数えてみよう』
竹内 潔

気象衛星「ひまわり」などから撮った地球の写真を見ると必ずどこかに渦を巻いている地点(無風点)があるはずです。しかも不思議なことに無風点のまわりでの風向きの回転数を足すと必ず2という数になります。実はこの2という数は、地球すなわち2次元球面のオイラー数と呼ばれているものなのです。この講義ではトポロジー(位相幾何学)の入門と曲面上のベクトル場について解説します。ほとんどすべては絵を描いていくだけで証明出来てしまいます。高校の数学とは一風違った、大学の数学の自由さ、面白さが伝えられたらと思っています。



[情報] 『切ったり貼ったり-デーンの定理とその周辺-』
坂井 公

「平行四辺形の面積は底辺×高さ」、「三角形の面積は底辺×高さ÷2」,小学校で習うこれらの事実にあまり疑いを持った人はいないでしょう。なぜなら平行四辺形は,傾いて出っ張っている部分を切り取り,反対側に移動すると簡単に長方形に整形できるからです.また,三角形は,同じ形のものを2つ持ってくると,同じ底辺と高さを持つ平行四辺形が作れます。同じように「角柱の体積は底面積×高さ」というのも納得できるでしょう。でも、「円の面積は円周率×半径の2乗」、「球の体積は円周率×半径の3乗×4/3」、「角錐の体積は底面積×高さ÷3」はどうでしょう? これらの説明には、普通,積分の考え方を使いますが、もっとすっきりした説明はできないのでしょうか? 円や球はともかくとして,角錐はいくつか集めてきて切ったり貼ったりしたら納得のいく形に変形できないのでしょうか? 今からほぼ100年前、19世紀最後の年にデーンという数学者がこの問題に答えを出しました。こういう問題に数学者がどういうふうに取り組むかをなるべく予備知識を仮定せずにお話します。

 





平成13年3月19日(月)

 9:30-- 9:50 受付

 9:50--10:00 事務連絡

10:00--10:15 学類長挨拶 佐々木 建昭 学類長

10:30--12:00講義『円周率を巡る御伽噺』 増田 哲也

12:00--13:00 昼食

13:00--14:00 学内施設見学

14:00--15:30講義『曲線の幾何学』 長友 康行

15:30--17:00 質問に答える時間 本橋 信義 他

3月20日(火)

 9:00--10:30講義『「つむじ」の数を数えてみよう』 竹内 潔

10:30--12:00講義「切ったり貼ったり-デーンの定理とその周辺-」 坂井 公

12:00--13:00 昼食

13:00--14:30 学生との懇談会 涌井英幸、小島紫津香他

14:30--16:00 まとめ 

年度 平成14年度
日付 平成14年7月27日(土)~28日(日)
概要


『多変数関数の微分と積分』
南 就将 先生

ある範囲を動く数 x に別の数 y を対応させる規則あるいは「しかけ」を「関数」といいます。高校では2次関数、三角関数、指数関数、対数関数などを学びます。一方、2つの数の組 (x,y) に別の数 z を対応させる関数(多変数関数)も当然考えられます。地図上の一点(それは緯度 x と経度 y との組 (x,y) で表される)にその地点の標高 z を対応させる関数などを考えれば、多変数の関数が科学のあらゆる局面で不可欠であることが容易に理解されるでしょう。と同時に多変数の関数に対する微分、積分はどのように考えればよいかという問題が生じます。この講義では、大学の微積分で本格的に学ぶ偏微分と重積分の初歩を解説しながら、多変数の関数に対する想像力を養っていただこうと思っています。


『曲がった空間―曲率は全てを語る』
山口 孝男 先生

曲線や曲面、そしてより高次元の“曲面”を総称して空間と呼びます。空間の曲がり具合を表す曲率という概念を定めて、曲がった空間を考察することは重要な空間認識の方法を与えます。曲率を通していろいろな空間を理解できる、という話しです。例えば、遊園地で 回転する乗物に乗っているときに、目を閉じていても何回まわったか理解できます。また、万一あなたが誘拐されて眼隠しされて車でどこかに連れて行かれたとしても、最終地点を理解できます(勿論そのようなことの無いよう十分気をつけましょう)。数学的には、これらは全て、曲線の曲がり具合を表す曲率といもので説明することが出来ます。そう、曲率は全てを語るのです。



『非可換の世界を覗いてみよう』
星野 光男 先生

あまり意識したことはないと思いますが、我々が扱っている数(実数または複素数)というのは「掛け算の順序が交換可能である」という著しい性質を持っています。つまり、我々は可換の世界で暮らしているわけです。従って、非可換の世界(即ち、掛け算の順序が交換可能でない様な数を基にした世界)においては、我々の常識が必ずしも通用しないという事態が起こり得ます。実際、可換から遠く離れた世界では、ちょっと想像出来ない様な現象が起こります。ここでは、非可換の世界をほんのちょっとだけ覗いてみることにします。




『民主主義国家構築のために』
坪井 明人 先生

議員の集合を I とし、I のべき集合( I の部分集合全体)の部分集合 F を一つ定めます。 F に属する A を多数派とよびましょう。さらに、A または A の補集合のいずれかは多数派になり、両方が多数派にはならないなどいくつかの条件をおきます。

(*)法案1の賛成者は多数派なので可決され、法案2も可決されました。
よって、両法案に賛成の人が多数派です。

上の議論は正しいですか?正しくないと思う人が多数派でしょう。しかし「多数」という語感から離れますが、上の議論を正しくする「多数」があります。それは、独裁者が賛成することを「多数」と定義する時です。I が有限の場合は(*)を成立させるにはどうしても独裁者が必要です。しかし、I が無限ならば独裁者のいない国家が存在します。皆で民主主義を守ろう。





 平成14年7月27日(土)

 9:30-- 9:50 受付

 9:50--10:00 事務連絡

10:00--10:15 学類長挨拶 斎藤 功 学類長

10:30--12:00講義『多変数関数の微分と積分』 南 就将

12:00--13:00 昼食

13:00--14:00 学内施設見学

14:00--15:30講義『曲がった空間―曲率は全てを語る』 山口 孝男

15:30--17:00 質問に答える時間 藤田 尚昌 他

7月28日(日)

 9:00--10:30講義『非可換の世界を覗いてみよう』 星野 光男

10:30--12:00講義『民主主義国家構築のために』 坪井 明人

12:00--13:00 昼食

13:00--14:30 学生との懇談会

14:30--16:00 まとめ(各先生の部屋で)



 

年度 平成10年度
日付 平成11年3月19日(金)~20日(土)
概要

[代数] 『何通り?群を使えばこの通り』
増岡 彰

電車が通れば何両編成か数える.モーニング娘がTVに映れば何人組か数える.---数を数えるのは,人間の本能なのかもしれません.8つのリンゴを3人に配る方法,7人が手をつないで輪を作るときの並び方など,ある事象が何通り起こるか数える問題を「数え上げの問題」といいます.この種の問題を代数学の手法を用いて有効に解くことで,皆さんを我々の根城にお誘いします.


[幾何] 『双曲幾何へのいざない』
伊藤光弘

その昔,大きな3角形を作って内角の和を測った人がいた.かの有名なガウスである.同じ頃,内角の和が2直角でない幾何があるかもしれないと考えた人たちもいた.彼らの発見した幾何は,現在,双曲幾何と言われているが,上半平面モデルを用いて,このチョット奇妙な双曲幾何を体験してみよう.


[情報]『統計学は未来を予測できるか?』
赤平昌文

最近の世の中の状況をみると,従来のシステムが壊れはじめ,例えば,銀行,証券会社などの金融破綻を含め,混沌として先が見えない時代に入っている.このような時代に,統計学は有効であろうか.「統計学」のような学問は,データが持つ情報を如何にうまく引き出すかを考慮する学問であるが,得られている現在のデータに基づいて未来を予測することも考えられる.ここでは,統計的予測問題に焦点を当てて,予測法について考察し,実際問題への応用として,日本のプロ野球チームの勝数や米国大リーグ選手のホームラン数を予測してみよう.


[解析] 『フーリエ級数と無限級数』
筧 知之

フーリエ級数というのは,sin x,sin 2x,sin 3x,...とか,cos x,cos 2x, cos 3x,...という三角関数達の和(無限和)の形に表された級数のことです.このフーリエ級数を用いると,





などのような,面白い無限級数を比較的簡単に導くことが出来るのです. ここでは,フーリエ級数の持つ魅力を紹介します.

 

 





平成11年3月19日(金)

 9:30-- 9:50 受付
 
 9:50--10:00 事務連絡

10:00--10:15 学類長挨拶

10:30--12:00講義『何通り?群を使えばこの通り』増岡 彰

12:00--13:00 昼食

13:00--14:30講義『双曲幾何へのいざない』伊藤光弘

14:30--15:30 筑波大学における学生生活体験談

15:30--17:00講義『統計学は未来を予測できるか?』赤平昌文

3月20日(土)

 9:30--11:00講義『フーリエ級数と無限級数』筧 知之

11:00--12:00 筑波大学における数学のカリキュラム

12:00--13:00 昼食

13:00--15:45 演習および懇談会(学内施設見学等)

15:45--16:00 まとめ

年度 平成9年度
日付 平成10年3月19日(木)~20日(金)
概要

[代数] 『分割数とその周辺』
内藤 聡


[幾何] 『トポロッジーの世界』
酒井克郎


[解析] 『微積分学入門』
南 就将


[情報] 『鶴亀算のかなた(グレブナー基底理論入門)』
坂井 公

 

 





平成10年3月19日(木)

 9:30-- 9:50 受付

 9:50--10:00 事務連絡

10:00--10:15 自然学類長挨拶

10:30--12:00講義『分割数とその周辺』内藤 聡

12:00--12:50 昼食

13:00--14:00 学類紹介ビデオ鑑賞

14:00--15:30講義『トポロジーの世界』酒井克郎

15:30--17:00 本学学生による学生生活体験談


3月20日(金)

 9:00--10:30講義『微積分学入門』南 就将

10:30--12:00講義『鶴亀算のかなた(グレブナー基底理論入門)』坂井 公

12:00--12:50 昼食

13:00--14:30 演習

14:30--16:00 教官・大学生との懇談会+体験学習の感想文

年度 平成8年度
日付 平成9年3月19日(水)~20日(木)
概要 [代数] 『リー代数入門(微分とその仲間達)』
宮本雅彦


[幾何] 『大きな面積を効率よく囲む方法---等周不等式---』
田崎博之


[解析] 『初等超越関数の世界』
渡邊公夫


[情報] 『集合論帝国主義』
本橋信義





平成9年3月19日(木)

 9:30--10:00 受付

10:00--10:30 学長特別講話

10:30--12:00 講義『リー代数入門(微分とその仲間達)』宮本雅彦

12:00--12:50 昼食

12:50--14:00 学類紹介ビデオ鑑賞

14:00--15:30 講義『大きな面積を効率よく囲む方法---等周不等式---』田崎博之

15:30--17:00 本学学生による学生生活体験談

3月20日(金)

9:00--10:30 講義『初等超越関数の世界』渡邊公夫

10:30--12:00 講義『集合論帝国主義』本橋信義

12:00--13:00 昼食

13:00--14:30 演習

14:30--16:00 教官・大学生との懇談会