過去の体験学習
年度 | 平成20年度 |
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日付 | 平成20年8月7日(木) |
概要 |
『(ミニ)ルービックキューブに挑戦!』 簡単そうに見えますが実はかなり難しいパズルで、やみくもにキューブを回していてもまず解けません。なにせ、ルービックキューブに回転操作を施すことで起こりうる色の配置パターンは、ナント、 43,252,003,274,489,856,000通り もありますから。 このようにとても難解なルービックキューブですが、その数学的な構造(もう少し詳しくいうと、群論的な構造)をじっくり調べることで解法が見えてきます。体験学習では、サイズがひと回り小さい2×2×2のミニルービックキューブを使って、 Q.ミニルービックキューブの色の配置のパターンは何通りあるか? という問題を考え、その数え上げの過程で見えてくるミニルービックキューブの解法について紹介したいと思います。難解なパズルを通して、群論や組合せ論の世界を覗いてみましょう! |
年度 | 平成21年度 |
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日付 | 平成21年8月6日(木) |
概要 |
『微分方程式で、鑑定しよう!』 国宝級の絵画や工芸品が発見されたとき、如何にしてそれが本物か偽物かを 見抜くのでしょうか?実は、ある化学物質の変化に注目することで、加工され てから経った時間がわかり、本物か偽物かを鑑定できます。 日常生活でお茶が冷めて苦いと、ヤカンでお茶を製造(加工)してから時間が 経っていることが感覚的にわかるでしょう。短時間前ならば、温度差から次の 関係式(冷却に関するニュートンの法則)を用いて時間を求めることが可能です。 dF(t)/dt =kF(t) ここで、kは物質から決まる定数で、tは時間、Fは温度差と表す関数とします。 このような関係式を微分方程式と呼びます。長時間前ならば、お茶の苦み(酸化) の変化からも同じような微分方程式を用いて時間を求めることが可能です。 今回の体験学習では、“微分”という演算をわかりやすく説明し、微分方程式 の解き方を説明します。そして、美術品の制作(加工)時期を求める年代測定に 挑戦しましょう!具体的には、次のウィンチェスター城の壁に取り付けられて いる円卓を調べてみます。
※)微分方程式を用いて年代測定を行い、この円卓が“長時間前”である遠い昔 5世紀頃実際に実在したアーサー王の円卓であるかどうかを鑑定できます。 |
年度 | 平成22年度 |
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日付 | 平成22年8月5日(木) |
概要 |
『ギャンブルは儲かるか』 小池 健一 先生 競輪,競馬,競艇を始めとして,世の中には多くのギャンブルがあります. また,ジャンボ宝くじ,ロト,ナンバーズのような宝くじについても, 一獲千金を夢見て発売当日から売り場に並ぶ人たちがニュースによく登場します. これらは本当に儲かるのでしょうか? ギャンブルと確率論は密接な関係があります.そもそも確率論の始まりが, シュバリエ・ド・メレ(1607-1684)がブレイズ・パスカル(1623-1662)に以下のような問題を出し, それをパスカルがピエール・ド・フェルマー(1601-1665)と手紙をやりとりして考えたことである とされています.
起こりうる事象を全て列記し,そのうちのある事象が起こる回数を数え上げてその比率を求めれば, その事象の確からしさが求められます.このような考察から確率論は生まれました. 現実社会においては,結果があらかじめ分からないことが数多くあります. しかもそのようなことに我々の生活が依存しています.このリスクに対して, 我々はどのように立ち向かっていくべきでしょうか. それには,確率を用いてリスクを見積もるのがよいのです. 今回の体験学習では,ギャンブルに関する問題を確率や期待値の概念を使って様々な観点から考えてみることにしましょう. |
年度 | 平成23年度 | ||
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日付 | 平成23年8月26日 | ||
概要 |
『いろいろな図形を一刀両断』 永野 幸一 先生 皆さんの目の前に美味しそうなケーキがあり,無二の親友と公平に二等分することになりました.手元には一本のナイフが.こんなとき,しばしば「およそこのあたり」と見当をつけて入刀します.ケーキが円柱や直方体の形をしていると簡単です. 大学で数学を本格的に学ぶと,どんな立体図形Aも一刀両断によって(すなわち一つの平面の切り口によって),同じ体積を持つ二つの部分 A1,A2 に分割できることが分かります.では次の問題はどうでしょう.
実は分割できることが,数学の定理であるハムサンドウィッチの定理によって保証されています.つまり,A をパン,B をハム,C をパンとして,一つのハムサンドウィッチ(A,B,C) を一刀両断して,二つのハムサンドウィッチ(A1,B1,C1) と(A2,B2,C2) に二等分できるのです. 今回の体験学習では,ハムサンドウィッチの定理について学ぼうと思います.立体図形に苦手意識をお持ちの方も心配ご無用です.実習の時間には,次の二次元の問題に取り組み,実際に体感してみましょう.
この分割が可能なことは,パンケーキの定理によって保証されています.仮に二つの図形A,B が共に長方形の形をしていれば,各々の中心(対角線の交点) を通る直線で一刀両断すれば良いことが分かります.ハムサンドウィッチ,パンケーキ,何だか親近感がわいてきました.少し背伸びをして,大学で学ぶ数学を垣間見ることにしましょう. |
年度 | 平成24年度 |
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日付 | 平成24年8月2日 |
概要 |
『面積を数えよう』 竹山 美宏 先生 私たちは, 小学校の算数で長方形や三角形, 平行四辺形などの面積の公式を学びました. どの公式も, 辺の長さや高さを足したり掛けたり2で割ったりするものですから, 面積を計算するためには(長さを)『測る』という操作が必要なはずです. ところが, ある世界では面積を『数えて』計算することができます. 舞台となるのは下の図のように点が等間隔に並んだ世界です. この点を頂点とする多角形を考えます. 点の間隔を1としましょう. すると, 左の三角形の底辺の長さは3, 高さは2ですから, 面積はです. 右の四角形は正方形で, 一辺の長さは$$\sqrt{5}$$ですから, 面積は $$\sqrt{5} \times \sqrt{5}=5$$です. では, 下の多角形の面積はいくつでしょうか? このように複雑な場合は, 普通に面積を計算すると大変です. 実は, 上の多角形の面積は次の式で求められます. この計算では, あるものを『数えて』面積を求めているのですが・・・. 今回の体験学習では, 上の問題を通じて, 参加者のみなさんと一緒に数学の研究を疑似体験してみようと思います. |
年度 | 平成25年度 |
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日付 | 平成25年8月9日 |
概要 |
『フェルマー予想の話』 木村健一郎 先生 フランスの数学者フェルマー(1601-1665)は、自分の持っていた本(ディオファントスの「数論」)の余白に次のような意味のことを書きました。 「が3以上のとき、$$x^n+y^n=z^n$$をみたす自然数$$x, y, z$$は存在しない」 また「私はこのことの真に驚嘆すべき証明を発見したが、この余白はそれを書くには狭すぎる」とも書いています。$$x^2+y^2=z^2$$をみたす自然数$$x,y,z$$は無数にあるのに、$$n$$が3になったとたんに一つも無くなってしまうのです。フェルマーは彼の「証明」を書き残しませんでした。そのためこの主張はフェルマー予想と呼ばれます。その後300年以上にわたりこれを証明しようと多くの試みがなされましたが、誰も成功しませんでした。しかしその努力が数学の進歩のきっかけとなったこともあります(クンマーなど)。 最終的に証明を与えたのは、アンドリュー・ワイルスで、1994年のことです。しかし彼は直接証明したわけではありません。実はその何年か前に、フライとリベットという人たちが、「谷山-志村予想」という予想が正しければフェルマー予想が正しいことを示しました。谷山-志村予想は、一言でいうと「有理数体上の楕円曲線はモジュラーである」というものです。ワイルスはテイラーという人の協力を得て、谷山-志村予想(の重要な場合)の証明に成功したのです。谷山-志村予想(ワイルスの定理)は、20世紀の数学が達した一つの頂点と言えるものです。この講義では、その内容の不思議さを、実例の計算を通して感じてもらいたいと思います。ワイルスの仕事は、20世紀の初めに高木貞治が証明した「類体論」をさらに進めた「非可換類体論」への一歩を踏み出したものと言えます。類体論についても具体例を計算してもらい、その雰囲気を感じてみたいと思います。 |
年度 | 平成26年度 |
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日付 | 2014年8月7日 |
概要 |
「黄金期の微積分学」 講師:西村泰一 先生 微積分学の基礎を築いたのはニュートンですが、彼は17世紀の人物です。18世紀にはラグランジュやオイラーを始め、名だたる数学者がいます。17世紀や18世紀の微積分学は冪零無限小を用いて展開されていました。冪零無限小というのは何回か掛け合わせると0になってしまうような小さい実数です。何回か掛け合わせて0になるなら、もともとその数は0ではないかと思うかもしれませんが、こんな数が0以外にも一杯あるような世界で微積分学を楽しんでいたのです。喩えていうと、河童みたいなものですね。昔はどこの沼や川に行っても、河童は必ず見ることができたのですが、最近は河童の目撃談はあまり聞きませんね。どうも死に絶えてしまったようです。環境の変化についていけなかったのかもしれません。 19世紀になると、冪零無限小はいい加減という烙印を押されて追放され、かわって微積分学は極限を用いて展開されることになります。高校の教科書には極限の単元があり、その後に微分や積分の 単元がきますが、これはそうした19世紀の動きを踏まえてのものです。大学で数学を専攻すると、さらに悪名高いεーδでそれに箔をつけます。オイラーというのは、きわめて多産な数学者ですが、”彼がもしも εーδで論文を書かなければいけなかったとしたら、あんなに沢山の論文を書くことは、とてもできなかったであろう”とは、よく言われる話しです。 この講義では冪零無限小を用いた微積分学を楽しんでもらいます。それがいかに躍動感に満ちたものか、堪能してください。 |
年度 | 平成27年度 |
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日付 | 2015年8月7日 |
概要 |
「図形の合同についての再考」 相山玲子 先生 高校生の皆さんは,小学校・中学校の算数・数学において,合同な図形の定義や性質を学んできていることと思います。2つの「図形」が『合同』であるとは,一方の図形を「移動」させて他方に重ね合わせることができる場合でした。この「平面図形」の『合同』の定義において,「移動」とは「平行移動」「回転移動」「対称移動」およびその組み合わせで「平面図形」を動かすことでした。では,なぜこの3つの「移動」を考えればよいのでしょうか? 1つの答えとしては, ”「長さ」を変えない動かし方”はこの3種類で表せるという理由が挙げられます。皆さんがこれまでに勉強してきた「図形」の話は,ほぼ,”「長さ」を変えない動かし方で重ね合わせられる「図形」は同じもの(『合同』)であるとする「幾何学」”です。”いくつもの図形の中から『合同』なものを選びなさい” という問題は, ”『合同』な図形は同じ仲間として, 与えられた図形を分類しなさい”という「幾何学」の問題だということができます。 しかし,実は「幾何学」は対象とする「図形」や「移動」のルールを変えることによって色々な種類があるのです!例えば,「平面図形」の「移動」を,先の3つの操作に「縮小拡大」をつけ加えたものとすると,前述の『合同』の定義は『相似』の定義だと読みかえることができ,”『相似』な図形は同じ仲間とする「幾何学」”が考えられることになります。(ここまでは,ユークリッド幾何とよばれる最も古典的な幾何学です。) 今回の体験学習では,「図形」を「(平面内の)点の集合」として考え,「移動」のルールを拡張あるいは変更して得られる「幾何学」(非ユークリッド幾何,位相幾何・・・) も紹介して,その変更された「移動」の操作も体験してもらいながら,「幾何学」の雰囲気を感じてもらいたいと思います。 昼休みの座談会 「カレーを片手に集って”微積分学成立前夜の微積分学”について語る。」 座談会講師: 西村 泰一 講師 昨年度の体験学習で皆さんに講義をした西村が17,18 世紀の微積分学と19 世紀以降の微積分学(高校の教科書は19 世紀以降のやり方に依拠して書かれています)の違いについてお話しします。また、参加される皆様には ”微積分学序説 - 数学に悟りをもとめて- ”という冊子を無料で差し上げます。 |