過去の体験学習

過去の体験学習

年度 平成23年度
日付 平成23年8月26日
概要 『いろいろな図形を一刀両断』
永野 幸一 先生

皆さんの目の前に美味しそうなケーキがあり,無二の親友と公平に二等分することになりました.手元には一本のナイフが.こんなとき,しばしば「およそこのあたり」と見当をつけて入刀します.ケーキが円柱や直方体の形をしていると簡単です.

大学で数学を本格的に学ぶと,どんな立体図形Aも一刀両断によって(すなわち一つの平面の切り口によって),同じ体積を持つ二つの部分 A1,A2 に分割できることが分かります.では次の問題はどうでしょう.

問題.どんな三つの立体図形A,B,C も一刀両断によって(すなわち一つの平面の切り口によって),各々同じ体積を持つ二つの部分A1,A2, B1,B2, およびC1,C2 に分割できるでしょうか?

実は分割できることが,数学の定理であるハムサンドウィッチの定理によって保証されています.つまり,A をパン,B をハム,C をパンとして,一つのハムサンドウィッチ(A,B,C) を一刀両断して,二つのハムサンドウィッチ(A1,B1,C1) と(A2,B2,C2) に二等分できるのです.

今回の体験学習では,ハムサンドウィッチの定理について学ぼうと思います.立体図形に苦手意識をお持ちの方も心配ご無用です.実習の時間には,次の二次元の問題に取り組み,実際に体感してみましょう.

問題.平面上のどんな二つの平面図形A,B も一刀両断によって(すなわち一つの直線の切り口によって),各々同じ面積を持つ二つの部分A1,A2, およびB1,B2 に分割できるでしょうか?

この分割が可能なことは,パンケーキの定理によって保証されています.仮に二つの図形A,B が共に長方形の形をしていれば,各々の中心(対角線の交点) を通る直線で一刀両断すれば良いことが分かります.ハムサンドウィッチ,パンケーキ,何だか親近感がわいてきました.少し背伸びをして,大学で学ぶ数学を垣間見ることにしましょう.