MultiDatabases

筑波大学数学談話会

日時 2024年11月25日15:15~16:30
場所 D509
講演者 池田宏一朗(法政大学)
講演題目

ジェネリック構成法

概要

モデル理論は,公理とそれを満たす構造(モデル)との関係を研究する
数学基礎論の一分野であるが,特に現代のモデル理論の出発点になったのが
Shelah の分類理論である.それは簡単にいえば,モデルの数を数えることで
公理を分類する方法である.モデルの数を数えるという観点から,非常に扱
いやすい公理として強極小な公理が知られている.例えば,標数が固定され
た代数閉体の公理は強極小になる.一方,「強極小な公理で自明でないものは
代数閉体の公理に限られる」という予想があった.この予想に対し反例を与
えたのが Hrushovski であり,そこで使われた方法がジェネリック構成法であ
る.ジェネリック構成法とは,可算個の有限構造をうまく貼り合わせること
で無限構造を作る方法であり,Hrushovski はこの構成法を用いてモデル理論
の2つの有名な予想を解決した.今回は,ジェネリック構成法の概略を述べ,
現在の研究内容との関連を説明する.