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筑波大学数学談話会

日時 2021年4月22日(木) 15時30分~17時00分
場所 オンライン
講演者 佐々木 建昭氏  (名誉教授)
講演題目

多項式の因数分解の話 -- 約20年も後発の日本が如何に世界をウナラせたか --

概要

計算機による数式処理(計算機代数)の世界で「多項式因数分解」は
オリンピックで言えば百メートル。各国が威信を掛け算法開発を競い,
 1960年代末には1変数版が,その5年後には多変数版がほぼ完成の域
に達しました。後には,『因子組み合せ問題(1変数版&多変数版)』
と『非ゼロ代入問題』と命名された三つの難問が残されました。

まず,話の前半では,上記の算法が如何に見事に数学を使い熟したか
を見ていきます。特に代数的計算の多くは計算量が多くなるのが普通
ですが,基本計算は線形計算に落ちています。算法開発では線形計算
に落とせば大成功です(計算量は大抵『N3』ですから)。

話の後半では私の仕事を話します。世界のプロ中のプロが闊歩する場
で(素粒子論崩れで,因数分解に関しては素人同然の)私が,プロと
まともに勝負できるハズはありません。私は,世界のプロが思い付き
さえしなかったに違いないことに挑戦しようと決めていました。その
テーマとは『近似因数分解』です。算法建設の詳細は談話会当日にて。
結果として,それが『多変数多項式版の因子組み合せ問題』の解決に
繋がり,しかも得られた算法は線形計算に落ちています。その数年後
には非零代入問題を,プロが地団駄を踏んだに違いない簡単さで解決
しました。そしてそれが今では「多変数多項式の『臨界点(特異点を
含むより広い概念)』での有理級数展開法に発展しています。

(談話会では大学院生を主対象に極めて平易に話します)

 

(なお,本談話会は大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです)

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