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筑波大学数学談話会

日時 2023年12月7日(木) 13時45分~15時15分
場所 D509
講演者 佐竹 郁夫氏(文教大学)
講演題目

Coxeter 変換から定まる良い基本不変式とフロベニウス構造

概要

概要 G を実ベクトル空間 $$ V_0 $$に作用する有限鏡映群とする。
$$ V=V_0\otimes_{\mathbb R}{\mathbb C} $$を $$ V_0 $$ の複素化とする。
射影 $$ \pi:V\to V/G $$ は同型ではないが、$$ q\in V $$ を Coxeter 変換の原始
$$ h $$ 乗根に対する($$ h $$ は Coxeter 数)固有ベクトルとしたとき、$$ q $$ は鏡映
面の外にあるため、$$ \pi $$ は $$ q $$ においては局所同型である。
これを不変式環の言葉で言い換える。$$ {\mathbb C}[V] $$ の生成元として、Coxeter
変換で固有ベクトルとなるものを固定しよう。すると上記は、$$ V/G $$ の
座標環である $$ {\mathbb C}[V]^G $$の生成元を $$ {\mathbb C}[V] $$ の生成元を用いて $$q$$ でテイラー
展開したとき、1次の係数に十分 $$0$$ でない項がある、と言い換えられる。
テイラー展開の高次の項は、$${\mathbb C}[V]^G$$ の生成元の取り方に依存するが、
逆に高次の項ができるだけ $$0$$ になるように生成元を選ぶことができる。
こうして得られる $${\mathbb C}[V]^G$$の生成元が実は $$V/G$$ に入るフロベニウス
構造における平坦座標(平坦不変式)であり、このとき $$0$$ にならない
さらに高次の係数がフロベニウス構造の積構造に対応することを紹介
する。
楕円ワイル群についての不変式でも同様の結果が得られているので、
それも紹介したい。