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過去の体験学習

年度 平成29年度
日付 2017年8月7日(月)
概要

「無限を数える」 竹内耕太 先生

数学の一番の基本は数を数えるということかもしれません。例えば小学校で初めて足し算をならったとき、かごの中に2つのりんご、箱の中に3つのみかんが入っている図を見て、全部で何個になるか「数えた」のではないでしょうか。
 ではもし箱の中に無限個のモノが入っていたら、それを数えるということはいったいどういうことだと考えたらいいのでしょうか?無限個のモノが2グループあったとき、どちらのほうが沢山あるか決めることは出来るのでしょうか?
 この問題は19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した数学者ゲオルグ・カントールが考えた集合論と深いかかわりがあります。集合論は、数学に出てくる数や図形といったものがもつ「大きさ」「計算規則」「形」といった様々な属性を忘れて、それらを単なる点や点の集まりだと捉えてその性質を調べる理論です。例えばりんごとみかんの例では、「りんご or みかん」「箱 or かご」ということを無視して個数を数えているのです。
 有限の世界では「モノの数」は普段の日常のイメージ通りの法則に従っていますが、無限の世界を扱うようになると途端にとても不思議で面白い現象が沢山みつかります。以下のクイズを考えてみてください。

  1. 二本の実数の数直線I、Jを想像してください。Iから整数点を、Jから有理数点を取り除きます。その後、それぞれ一方から取り除いた点を他方の数直線に開いた穴に適当に一つずつはめ込みます。点を過不足無く使い、数直線I,Jが元通り復元されるようなはめ込み方を考えてください。
  2. 次のような操作を見つけてください:円周Sを二つの集合A,Bに分割し、Aから点を100万個取り除きます。点が取り除かれたA,Bを形を保ったまま適当に動かして(平行移動、回転など)組み合わせるともとの円周Sが復元されます。
  3. xy平面の原点, (1,0), (1,1), (0,1)を頂点に持つ正方形Aを考えます。Aの内部の点(a,b)でa,bがともに有理数の点は穴が開いているとします。今、一辺の長さが0.5の正方形の紙Bを考えます。はさみでBから複数の長方形(大きさは様々でよい)を順に切り出しそれらをAの上に適当に貼り、Aの穴が全部隠れて見えなくなるようにしてください。(有限個の長方形では不可能ですが・・・)

この体験学習では、ものを数えるということを一から考え直すことによって無限個の対象を扱う方法に触れ、その不思議を実感してもらいたいと思います。無限を自由に想像できるようになったときあなたの見えている世界はもっと奇妙で豊かなものになるでしょう。


プログラム
8月7日(月)総合研究棟B112
9:30     受付開始
10:00~11:30 講義と演習「無限を数える」 講師:竹内耕太 助教
11:30~13:30 昼食 昼休み(学食等にご案内します.昼食代を持参して下さい.)
13:30~15:00 講義と演習「無限を数える」 講師:竹内耕太 助教
15:10~16:20 懇談会・修了セレモニー(修了証をお渡しします.)