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過去の体験学習

年度 平成13年度
日付 平成13年7月28日(土)~29日(日)
概要

[代数] 『定規とコンパスによる作図』
藤田尚昌


定規とコンパスを使って「角の2等分線」をどうやって引くか、皆さんは中学生のとき習ったと思います。しかし、“定規とコンパスを使って「角の3等分線」をどうやって引くか?”という問題は、古代ギリシャ以来の難問の一つとして知られていましたが、1837年Wantzelという人によって「角の3等分線は引けない」ことが証明されました。大学では、3年次の代数学の講義で、体論を学びます。この作図不可能性の証明は、体論の1つの応用として簡単に与えられます。ここでは、その証明を平易に解説し、体論の一端に触れたいと思います。



[幾何] 『楽しい結び目・絡み目の数学』
金戸武司


日常生活でも身近に見られる結び目・絡み目現象は数学的対象としても興味深く、様々な研究が行われてきた。数学では閉じたものを考える。即ち、空間内の(太さのない)閉じたひも(=単純閉曲線)を結び目、何本かの結び目の集まりを絡み目といい、結び目は絡み目の一種とみなす。2つの絡み目について、一方を(曲げたり、伸ばしたり、縮めたり)自由に空間内で動かして他方に重ね合せられるとき、結び方・絡み方は本質的に同じとみなし、2つの絡み目は同値であるという。2つの異なる絡み目の区別には、同値な絡み目に対して変わらない量(=絡み目不変量)が有効である。その例として、Conway 多項式と Jones 多項式を取り上げ、計算法と後者の簡単な別証を紹介し、また、結び目をひもで作り、手品風変形を楽しむ。



[解析] 『応用数学における微分方程式入門』
山崎 満

現代、応用する立場の人々から見た数学を捉えてみましょう。その1例として、ここでは微分方程式を取り上げますが、予備知識としては、簡単な多項式の微分がわかれば十分です。そのなかでも、指数関数の別の定義の仕方を導出することによって、指数関数の性質を別な方法で導き出すことができます。この別な方法は、高校で習う方法よりも、ときとしてスッキリした形で表わされることがありますので、そのいくつかを見てみましょう。また、今までは数の指数関数、つまり、1次元ベクトル(スカラー)の指数関数を見て来ました。現代数学では、この概念を拡張して、n次元ベクトルの指数関数や無限次元の指数関数さらに非線形の指数関数が定義されます。こうした新しい数学が、間接的に天気予報や航空機の設計に役立っております。



[情報] 『いくつかのものを統計的に比較してみよう』
青嶋 誠

皆さんは学校で「統計」を勉強しているかも知れませんね。高校までの範囲では、正規分布の母平均に対する信頼区間を作ることが、ゴールになっています。よく読むと、母平均の信頼区間を作るために、どうやら、母分散の値は分かっていることを仮定しています。母分散の値が分からない場合、信頼区間はどうやって作ったらよいのでしょうか?また、2つの母平均の差に対して信頼区間を作りたい場合、どうしたらよいのでしょう?2クラスのデキを平均点で比較する場合が、これに当たります。3つ以上の母平均を、それぞれ対にして比較したい場合は、どうすればよいのでしょう?単純に2つの母平均の差の信頼区間を繰り返して作ればよいのでしょうか?この辺の議論に、数学が使われるのです。





平成13年7月28日(土)

 9:30-- 9:50 受付

 9:50--10:00 事務連絡

10:00--10:15 学類長挨拶 斎藤 功 学類長

10:30--12:00講義『定規とコンパスによる作図』 藤田 尚昌

12:00--13:00 昼食

13:00--14:00 学内施設見学

14:00--15:30講義『楽しい結び目・絡み目の数学』 金戸 武司

15:30--17:00 質問に答える時間 本橋 信義 他


7月29日(日)

 9:00--10:30講義『応用数学における微分方程式入門』 山崎 満

10:30--12:00講義『いくつかのものを統計的に比較してみよう』 青嶋 誠

12:00--13:00 昼食

13:00--14:30 学生との懇談会 涌井英幸、小島紫津香他

14:30--16:00 まとめ(各先生の部屋で)